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 割引現在価値の計算とDCF法による投資意思決定

割引現在価値の計算とDCF法による投資意思決定

作成日:平成24年8月3日

 割引現在価値とは、将来の資金や収益の価値を現在の価値に直したものです。

 1年後に100万円を得られることと、今すぐに100万円を得られることは同価値でしょうか?
 多くの人は今すぐに100万円を得られる方が嬉しいでしょう。
 今すぐに100万円を得られれば、今すぐに100万円を好きな用途に用いることができます。

 企業の場合には、今すぐに100万円を得れば、それを事業に投資して増やそうとしたり、金融商品に投資して増やそうとしたりするでしょう。

 例えばその100万円を年間利回りが2%の金融商品に投資すれば、100万円は1年後に102万円になっています。
 この環境では、

現在の100万円=1年後の102万円
となります。
 この関係を将来から現在に直すならば、
1年後の102万円=現在の100万円(102万円÷1.02)
として計算することができます。
 これが割引現在価値の計算です。

 企業が100万円を複利で運用していけば、3年後には

1,000,000×1.02×1.02×1.02=1,061,208円
になります。
 3年後の1,061,208円を現在の価値に直すならば、
1,061,208÷1.02÷1.02÷1.02=1,000,000円
となります。

 利子率をr、期間をtとすれば、割引現在価値は将来の貨幣金額を(1+r)のt乗で割れば算出することができます。


割引現在価値による投資意思決定(DCF法による正味現在価値計算)

 さて、この割引現在価値を用いて事業の投資計画を考えてみましょう。

 機械を購入して製造販売する投資計画Aのキャッシュフロー計画は以下の通りです。

現在1年後2年後3年後4年後5年後
機械投資額500
販売収益500450400300300
販売費用300270240180180
固定費5050505050
機械売却収益20
ネットCF△5001501301107090


 割引現在価値を考えなければ、

△500+150+130+110+70+90=50
となり、5年後までに合計50の利益が出るからプラスの事業計画に見えます。

 それでは、割引現在価値の考え方により投資計画Aを検討してみます。

 この企業が投資計画Aと同じ事業リスクで5%の期待収益率の事業Bを展開できているとします。
 よってこの企業の事業投資の割引率として5%を用います。

 この場合に投資計画Aの割引現在価値を考えると、

<係数表(5%)>
1年後0.952381 (1/1.05)
2年後0.907029(1/1.05/1.05)
3年後0.863838 (1/1.05/1.05/1.05)
4年後0.822702 (1/1.05/1.05/1.05/1.05)
5年後0.783526 (1/1.05/1.05/1.05/1.05/1.05)

<割引現在価値合計>
150×0.952381+130×0.907029+110×0.863838+70×0.822702
                               +90×0.783526
484

<投資計画Aの価値>
△500+150×0.952381+130×0.907029+110×0.863838+70×0.822702
                               +90×0.783526
△16

 この結果、投資計画Aの価値はマイナスとなっています。
 事業Bの期待収益率5%を割引率として用いたため、△16は投資計画Aが事業Bよりも収益性が劣っていることを表しています。

 以上から、投資計画Aは5年後までに合計50の利益が出る計画であるが、事業Bよりは収益性が劣るという結論になります。

 このように算出した投資計画Aの価値△16は、「正味現在価値(NPV=net present value)」と呼ばれます。
 また、このように将来キャッシュ・フローを割引計算した割引現在価値を用いて評価を行う方法は、「DCF(=discount cash flow)法」と呼ばれます。


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