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債券価格と金利の関係

作成日:平成25年1月7日

 第2次安倍内閣のインフレターゲット政策・金融緩和政策により、債券バブルが崩壊するのではないかという懸念が提起されています。
 一般に経済の見通しが良くなったり、大規模な金融緩和が行われると、投資家は株式等のリスク資産を増やそうとします。
 国債に代表される債券は安全資産とされており、投資家がリスク資産を増やす過程では、売られる傾向があります。
 債券が売られる際には、マーケットで債券の需要が減るため、需給バランスから金利が上昇します。

 日本でのインフレターゲット政策・金融緩和政策では、債券マーケットでの需給バランスが悪くなれば、日銀が金融緩和の一環として基金を作って債券を買い支える可能性が高いと思いますが、今後様々な要因で長期金利が上昇基調に転じることは考えられます。
 実際にインフレを起こすことができれば、そのコントロールのために政策金利を上げることが考えられます。
 また将来、経常赤字が常態化するようなことがあれば、日本の財政問題から金利が上昇する可能性もあります。

 ここでは、簡単な経済モデルを使って債券の時価と金利の関係を考察しておきたいと思います。
 以下のモデルでは金利以外の要因は一旦除外して考えることとします。
 また2012年に発行された期間10年の日本国債の応募者利回り平均は0.86%ですが、以下のモデルでは利率を簡略化することとします。


市場参加者としての考え方

 あなたがマーケットに参加して日本国債を購入しているとします。

 2012年1月に利回りが1%の日本国債(期間10年)を1千万円あなたは購入しました。
 2013年1月に新たに期間10年の日本国債が利回り0.8%で発行されたとします。
 この場合、あなたが保有している金利1%の日本国債は、新たに発行された金利0.8%の日本国債よりも利回りが高く有利なため、あなたが保有している日本国債の市場価格は上がっています。
 なぜなら、あなたが保有している金利1%の日本国債と金利0.8%の日本国債を交換するとなれば、あなたは当然にプレミアムを要求できるからです。

 2014年1月に同じく期間10年の日本国債が利回り1.5%で発行されたとします。
 この場合、あなたが保有している金利1%の日本国債は、新たに発行された金利1.5%の日本国債よりも利回りが低く不利なため、あなたが保有している日本国債の市場価格は下がっています。
 なぜなら、新たに金利1.5%の日本国債が発行されているのに、あなたが保有している金利1%の日本国債を額面で買い取ろうと思う人はいないからです。

 このように債券の市場価格は金利とは逆の動きをすることがわかります。
 金利が上がれば既存債券の価格は下がり、金利が下がれば既存債券の価格は上がります。

 日本の長期金利はずっと下落基調だったため、今まで債券の時価が下落基調になることは少なかったのです。
 逆に長期金利が上昇基調になってゆけば、債券の時価は下落基調になることとなります。


会計的な考え方

 会計学では上記のような市場価格(時価)と金利の関係用いて、理論上の時価を計算することができます。
 それが割引計算による割引現在価値の算出です。
 割引現在価値の考え方は、「割引現在価値の計算とDCF法による投資意思決定」をご参照ください。

 期間10年の日本国債を例にあげます。
 平成25年の1月に利回り1%の10年もの日本国債を1000万円購入したとします。

 この国債の平成25年1月時点の割引現在価値は、
  (10÷1.01)+(10÷1.01^2)+…+{(10+1000)÷1.01^10}=1000万円
となります。

 平成26年の1月に10年もの日本国債の利回りが2%に上昇していました。
 保有している国債の平成26年の1月時点の割引現在価値は、
  (10÷1.02)+(10÷1.02^2)+…+{(10+1000)÷1.02^9}=918万円
となります。

 10年ものの債券で1%の金利上昇でも影響が大きいことが分かります。

 次に期間20年の日本国債を例にあげます。
 平成25年の1月に利回り2%の20年もの日本国債を1000万円購入したとします。

 この国債の平成25年1月時点の割引現在価値は、
  (20÷1.02)+(20÷1.02^2)+…+{(20+1000)÷1.02^20}=1000万円
となります。

 5年後の平成30年の1月に20年もの日本国債の利回りが4%に上昇していました。
 保有している国債の平成30年の1月時点の割引現在価値は、
  (20÷1.04)+(20÷1.04^2)+…+{(20+1000)÷1.04^15}=777万円
となります。

 20年ものの債券で5年間に2%の金利上昇のケースでは、時価にかなりの影響があることが分かります。


安全資産としての債券

 債券には元本保証のものもあり、元本割れの可能性が低いという意味で安全な資産です。
 しかし保有する債券の利回り以上にインフレが起こっている場合、受け取る金利以上に物価が上昇しているわけですから、数年後に元本で償還されるということは実質的に不利な状況といえます。
 特に償還期限までが長期にわたる債券は、よりそのリスクが高まります。

 一方で、現金、普通預金及び定期預金等に比べれば、債券の方が金利が高いです。
 また、より利回りの高い株式等は元本割れのリスクがあります。
 不動産は時価下落のリスクに加えて流動性も損なわれます。

 リスクとリターンは常に裏表の関係とはいえ、刻々と変化するマクロ経済の中で私たちは生活しています。
 マクロ経済が大きな転換点を迎える時は、保有する資産の配分をどのようにするか、今一度冷静に考えなおす必要がありそうです。


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