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単式簿記と複式簿記

作成日:平成25年3月26日

 簿記には単式簿記と複式簿記があります。

 簿記検定試験で問われるのは複式簿記ですし、一般に簿記といえば複式簿記を指すことが多いです。

 ここでは、単式簿記と複式簿記の違いと、複式簿記による青色申告について解説します。


単式簿記とは

 単式簿記とは、取引を一つの要素に絞って把握する方法、すなわち、一つの勘定科目について記帳して集計する方法です。

 例えばお小遣い帳をイメージすればわかりやすいです。
 お小遣い帳は「現金」という要素に絞って、取引を記帳していきます。

 ここでは、個人商店のオーナーが現金出納帳を用いて単式簿記を行う例をとりあげましょう。

内容
収入
支出
現金残高
前月繰越
300,000
商品仕入
80,000
220,000
商品売上
100,000
320,000
電気代
10,000
310,000
商品仕入
60,000
250,000
商品売上
75,000
325,000


 これらの取引が全て現金で行われていれば、上記のような現金出納帳ができあがります。
 「現金」という要素に絞って、取引を記帳しているので、これは単式簿記にあたります。
 単式簿記ですが、それぞれの内容ごとに集計すれば、以下のような損益計算書を作ることが可能です。

   売上高   175,000
   仕入高   140,000
  --------------------------
   売上総利益  35,000
  --------------------------
   電気代    10,000
  --------------------------
   当期純利益  25,000

 単式簿記であっても、上記のように集計することができれば、損益計算書を作成することができます。

 しかし、実際の取引は複雑多岐にわたり、同じ売上であっても①現金売り②預金振込③掛け売り④手形・・・多岐にわたります。
 同じ預金の入金であっても①売上代金②借入金③預り金・・・多岐にわたります。
 このようになってくると、単式簿記ではたくさんの出納帳を作らなければ、把握ができなくなってきます。

 また、上記のように損益計算書を上手く作れたとしても、資産や負債の状況を網羅的に把握する貸借対照表(バランスシート)を作成することは困難です。
 例えば、固定資産を減価償却(使用する各年に費用配分)することも、単式簿記では簡単には表現できないのです。

 単式簿記のメリットは単一の要素についてはわかりやすく集計できることですが、デメリットとして資産全体の把握には適さない点があげられます。

 さて、次に単式簿記の弱点を補う複式簿記について、見ていきましょう。


複式簿記とは

 複式簿記の起源には諸説あるようですが、イタリアで銀行家が用いていた記帳方法を、数学者ルカ・パチオリが1494年に著した「スムマ」という著書の中で紹介したことで広まったそうです。

 イタリアの銀行家は、お金を借りてくれた人を左側に記帳し、お金を貸してくれた人を右側に記帳していました。
 このような貸し借りの記帳方法を語源として、現在では帳簿の左側を「借方」、右側を「貸方」と呼びます。
 英語では、借方はDebit、貸方はCreditです。
 やはり、Debit=負債、Credit=貸付というラテン語起源のようです。

 銀行と事業主では立場が逆のため、あまり意味を考え始めると混乱してしまいます。
 まずは、借方(左側)と貸方(右側)を現在では以下の場合に使うと覚えてしまいましょう。

借方に記帳するもの
 …①資産の増加 ②負債の減少 ③純資産・元入金の減少 ④費用の発生
貸方に記帳するもの
 …⑤資産の減少 ⑥負債の増加 ⑦純資産・元入金の増加 ⑧収益の発生

 このルールに従って記帳をしてゆくだけで、収益費用の管理と資産負債の管理が同時にできてしまいます。

 先ほどの現金出納帳の例を少し複雑にして、複式簿記のルールで仕訳をしてみます。
 単式簿記では表現できなかったことが、複式簿記では表現可能です。

 以下、(借方)/(貸方)で記載します。

・月初に現金150,000円と預金150,000円を用意して、事業を開始した。
現金150,000/元入金150,000
預金150,000/元入金150,000

・商品80,000円を掛けで仕入れした。
仕入80,000/買掛金80,000

・商品を掛けで売上(100,000円)した。
売掛金100,000/売上100,000

・電気代10,000円が預金から引き落としされた。
水道光熱費10,000/預金10,000

・商品60,000を現金で仕入れした。
仕入60,000/現金60,000

・商品を現金で売上(75,000円)した。
現金75,000/売上75,000


 このように上記の取引を左右に仕訳します。
 あとは、これらを集計してゆくだけで複式簿記による貸借対照表と損益計算書が作成できますので集計してみましょう。

<貸借対照表>
   現金 165,000      買掛金     80,000
   預金 140,000      元入金    300,000
   売掛金100,000      元入金(損益) 25,000
  ------------------------------------------------------
      405,000             405,000

<損益計算書>
   仕入高  140,000    売上高175,000
   水道光熱費 10,000
   損益    25,000
  ------------------------------------------------------
        175,000       175,000


 貸借対照表も損益計算書も様々な取引内容を表現して把握できた上に、左右の合計が一致することにより網羅的に把握できたことが確認できます。
 このように複式簿記を用いれば、記帳の透明化が図られます。

 国や地方公共団体の会計の一部は、歳入と歳出という要素に絞って記帳する単式簿記を中心としています。
 財産を把握するための貸借対照表は、参考情報として単式簿記から作成している場合があるようです。

 自動的かつ網羅的に作成される複式簿記の貸借対照表と異なり、単式簿記の貸借対照表は個々に資産と負債を集計してゆくことで作成されます。
 このため、資産と負債の把握の網羅性や透明性では、単式簿記は複式簿記に劣ってしまいます。
 単式簿記によって集計された貸借対照表では、複式簿記に比べて恣意的な集計が入る余地があり、信頼性が低くなるわけです。

 複式簿記では取引に際して資産と負債の動きが紐付きになる上に、常に貸借を一致させることによって検算がなされるという利点があります。
 また、このような仕組みのため、帳簿外の資産・負債・収益・費用が絡んだ取引を混ぜこぜにすることができず、不正を防止する効果もあるのです。

 2012年12月に行われた衆議院選挙の選挙速報番組でも当時の都知事が、「国の会計はなぜ複式簿記を採用しないのか」と指摘していましたが、確かに複式簿記により網羅的かつ透明性のある財産把握を重視することは経営的な観点からとても重要なことです。
 そうでなければ、単式簿記によって捉えた一側面に囚われて、判断を誤ってしまう恐れもあります。
 例えば、国の借金がいくら…というような議論は、国の資産を網羅的に把握しなければ、議論できないわけです。


複式簿記による青色申告

 上記のように、複式簿記によれば透明性の高い記帳を行うことができます。
 このため、複式簿記による記帳を行って貸借対照表と損益計算書を作成すれば、青色申告の65万円の特別控除を受けることができ、所得税を少なく抑えられます。

 一方で、複式簿記によらずに単式簿記によった場合、貸借対照表の作成が求められることはありませんが、青色申告の場合でも特別控除は10万円です。

 濱野会計事務所では、複式簿記のお手伝いをしております。
 例えば、事業主様には現金出納帳と預金出納帳を記帳していただき、弊事務所が複式簿記による記帳を行うことも可能です。

 複式簿記により青色申告をしたい方、複式簿記を学びたい方、ご気軽にお問い合わせください。


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