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 貸借対照表における流動と固定の区分

貸借対照表における流動と固定の区分について

作成日:平成24年5月18日
参考:企業会計原則・同注解、財務諸表等規則、税効果会計に係る会計基準

 貸借対照表において流動の部に記載するか固定の部に記載するかは、以下の2基準に従って区分します。
  ①営業循環基準
  ②ワン・イヤー・ルール(1年基準)(one-year-rule)

 区分する際には、まず①の営業循環基準により区分し、その後②のワン・イヤー・ルールにより区分します。
 いきなり②のワン・イヤー・ルールにより区分しないように注意しましょう。


①営業循環基準

 営業循環基準とは、受取手形・売掛金・前払金・支払手形・買掛金・前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権債務は、流動資産又は流動負債に区分するというルールです。
 営業循環基準に当てはまれば、②のワン・イヤー・ルールによる区分をせずに流動の部に区分することになります。
 但し、破産債権や更正債権等で1年以内に回収されないことが明らかなものは、固定の部(投資その他の資産)に区分することとされているので注意が必要です。


②ワン・イヤー・ルール

 ワン・イヤー・ルールとは、貸付金・借入金・差入保証金・受入保証金・当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金及び未払金等の債権債務で、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金又は支払の期限が到来するものは流動の部に計上し、入金又は支払の期限が1年を超えて到来するものは固定の部に計上するというルールです。
 営業循環基準に当てはまらなかった項目については、ワン・イヤー・ルールにより流動の部と固定の部に区分することになります。


重要性の原則との関係

 営業循環基準に当てはまらない項目はワン・イヤー・ルールにより1年内と1年超に区分することが原則ですが、重要性の原則により全て固定の部に含めることができる場合があります。
 具体的には、「分割返済の定めのある長期の債権又は債務のうち、期限が1年以内に到来するもので重要性の乏しいものについては、固定資産又は固定負債として表示することができる」と企業会計原則注解1重要性の原則(5)に定められています。
 重要性が乏しいか否かの判断は、財務諸表等規則に定められている総資産の1%等が参考となります。


財務諸表等規則における前払費用の流動固定区分における重要性の原則の適用

 財務諸表等規則では「当初1年を超えた後に費用になるものとして支出された前払費用について、1年内に費用となるべき部分の金額がある場合において、その金額が僅少であるものについては、当該金額を流動資産として区分しないで、投資その他の資産として記載することができる」としています。


財務諸表等規則における引当金の流動固定区分における重要性の原則の適用

 財務諸表等規則では

 固定負債に区分される引当金については、1年内にその一部の金額の使用が見込まれるものであっても、1年内の使用額を正確に算定できないものについては、その全額を固定負債として記載するものとする。
 ただし、その全部又は大部分が1年内に使用されることが確実に見込まれる場合には、その全部について又は1年内の使用額を適当な方法によって算定し、その金額を流動負債として記載するものとする。
としています。
 前段の「1年内の使用額を正確に算定できないもの」の代表例として退職給付引当金があり、一般に退職給付引当金は全額が固定負債として計上されます。


棚卸資産と減価償却資産の流動固定区分の取扱い

 棚卸資産の場合には、恒常在庫品として保有するものや余剰品として長期間にわたって所有するものについても、固定資産にはせずに流動資産に含ませることとされています。
 固定資産に区分している減価償却資産のうち残存耐用年数が1年以内となったものについても、流動資産にはせずに引き続き固定資産に含ませることとされています。


繰延税金資産及び繰延税金負債の流動固定区分の取扱い

 意外に間違えやすいのが税効果会計を適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の流動固定区分です。
 繰延税金資産及び繰延税金負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて区分します。
 流動の部に計上されている貸倒引当金に係る繰延税金資産は流動の部、固定の部に計上されている貸倒引当金に係る繰延税金資産は固定の部(投資その他の資産)、といった具合です。
 繰延税金資産負債をワン・イヤー・ルールにより区分しようとするのは間違えになってしまうので注意が必要です。
 但し、特定の資産・負債に関連しない繰越欠損金等に係る繰延税金資産については、翌期に解消する見込みの一時差異等に係るものは流動資産として、それ以外の一時差異等に係るものは投資その他の資産として区分することになっており、ワン・イヤー・ルールが適用されます。
 なお、同じ納税主体から発生したものであれば、流動の繰延税金資産と繰延税金負債、固定の繰延税金資産と繰延税金負債、はそれぞれ相殺して表示することになります。


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