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重要性の原則

作成日:平成24年4月21日
参考:企業会計原則・同注解

 企業会計では、全ての処理について厳密な処理を求めてしまうと、利害関係者への影響がほとんどないにも関わらず、煩雑な処理が必要になる場合があります。
 このため、企業会計原則注解1では、重要性の原則を定め、重要性がない場合には簡便な処理を認めています。
 重要性の原則の適用により簡便化した処理は、会計上の誤謬にはあたらず、正規の簿記の原則に従った処理として認められます。

<企業会計原則注1>
 企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計の目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる。
 重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。


重要性の原則の適用例

 例示されている重要性の原則の適用例は、以下のとおりです。
 その企業にとって、その項目に重要性がない場合に認められます。


(1)消耗品の買入時の費用処理

 消耗品も資産ですので、本来は使った分だけを費用処理し、期末に貯蔵している消耗品は「貯蔵品」として資産計上すべきものです。
 しかし、消耗品の数を管理するという煩雑な処理をするコストに対して、重要性のない資産を厳密に会計処理するメリットが少ないため、買入時に費用処理してしまうことが認められます。


(2)前払費用・未収収益・未払費用・前受収益(経過勘定項目)の省略

 正規の簿記の原則に従えば、現金主義ではなく発生主義により会計を行う必要があります。
 このため、本来は経過勘定項目の処理をすべきです。
 しかし、例えば普通預金の受取利息の未収収益等を計算するのは煩雑です。
 また、毎期ほぼ同額が発生する項目であれば、継続的に現金主義により処理していても、期間損益に与える影響度は大きくありません。
 このようなケースでは経過勘定項目の省略が認められます。


(3)引当金の省略

 引当金は、以下の4要件の全てに該当すれば、計上しなければなりません。

  1. 将来の特定の費用又は損失であること
  2. 発生が当期以前の事象に起因していること
  3. 発生の可能性が高いこと
  4. 金額を合理的に見積ることができること

 しかし、重要性がない引当金は省略が認められる場合があります。
 例えば中小企業の会計に関する指針(平成23年版)では、「修繕引当金等のように、法的債務ではないが、将来の支出に備えるための引当金については、金額に重要性の高いものがあれば、負債として計上することが必要である。」と述べられています。


(4)棚卸資産の取得付随費用を取得原価に含めない処理

 棚卸資産の引取費用、関税、買入事務費、移管費、保管費等の付随費用は、棚卸資産の取得原価に算入するのが原則です。
 しかし、これらは煩雑な処理になる場合も多いため、重要性が乏しいものは取得原価に算入せずに費用処理することが認められます。


(5)分割返済される債権債務(固定資産負債)の一年内勘定(流動資産負債)
   への振替の省略

 営業債権債務でなければ、原則としてワンイヤールール(決済期限まで1年内か否か)により、流動項目と固定項目に振り分けます。
 しかし、1年内に期限が到来する部分に重要性が乏しいものは、固定資産負債に含めて表示することができます。


 これらは例示にすぎず、実務上は上記以外でも様々な場面で重要性の原則が適用される事例があります。


重要性の原則における重要性について

 重要性には金額的重要性と質的重要性があります。
 金額的重要性は、簡便な処理をすることによって財務諸表に与える金額的な影響度です。
 その金額的な影響度が大きければ、簡便な処理を採用することは認められません。

 質的重要性は、その金額に係らず利害関係者に与える影響が大きい場合等が該当します。
 質的重要性には様々なケースがあり、金額的重要性による判断を補完しています。

 重要性は各企業の規模や業種等に応じて決定されるものであり絶対的な基準がなく、個別判断が求められます。
 そして、利害関係者の判断を誤らせないということが大前提となります。


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