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 工事進行基準に係る会計処理と税務上の取扱い

工事進行基準に係る会計処理と税務上の取扱い

作成日:平成24年5月25日
参考:工事契約に関する会計基準

 工事契約に関する会計基準では、成果の確実性が満たされた工事について、工事進行基準を適用することを要請しています。
 成果の確実性が満たされた場合とは、
  ①工事収益総額
  ②工事原価総額
  ③決算日における工事進捗度
の3つが信頼性をもって見積れる場合です。
 このため、合理的な実行予算を策定していることが適用の要件になるでしょう。

 上記の3つが信頼性をもって見積り可能であり成果の確実性が満たされた場合、工事進行基準を適用しなければなりません。

 但し、工期がごく短いものは、通常、金額的な重要性が乏しいばかりでなく、工事契約としての性格にも乏しい場合が多いと想定されるため、工事進行基準を適用する必要がない場合もあります。
 工事進行基準を適用しない工事については、工事が完成して引渡を行った時点で工事収益と工事原価をまとめて認識する工事完成基準を適用します。

 ③の決算日における工事進捗度の見積り方法としては、原価比例法が最も一般的です。
 原価比例法とは、決算日までに実施した工事に関して発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって決算日における工事進捗度とする方法です。
 但し、原価比例法よりも直接作業時間比率や施工面積比率の方がより適切に工事の進捗度を反映していると考えられる場合には、直接作業時間比率や施工面積比率を用いて工事進捗度を計算することもできます。


原価比例法による計算例

前提条件
当初工事契約額100,000千円
当初工事総原価見積額80,000千円
工事は第1期〜第3期までの3年間である。
第1期
当初の見積りに変更なく、実際にかかった原価は40,000千円であった。
期中に工事の進捗に伴い30,000千円が入金された。

<工事進捗度の計算>
 40,000/80,000=50%

<完成工事高の計算>
 100,000×50%=50,000千

①工事原価の仕訳
 (完成工事原価)40,000  (現金預金)40,000

②入金の仕訳
 (現金預金)30,000    (前受金)30,000

③完成工事高の仕訳
 (前受金)30,000     (完成工事高)50,000
 (完成工事未収入金)20,000
第2期
当初の契約条件と原価の見積りに変更があり、工事契約額が120,000千円に、工事総原価見積額が100,000千円になった。
第2期に実際にかかった原価は50,000千円であった。
期中に工事の進捗に伴い40,000千円が入金された(第1期に進捗した分を含む)。

<工事進捗度の計算>
 (40,000+50,000)/100,000=90%
 ※1期と2期の原価合計と変更後の工事総原価見積額により計算

<完成工事高の計算>
 120,000×90%=108,000千円
 108,000−50,000=58,000千円
 ※変更後の工事契約額により計算し、第1期に計上した完成工事高は計上済みのため控除

①工事原価の仕訳
 (完成工事原価)50,000  (現金預金)50,000

②入金の仕訳
 (現金預金)40,000    (完成工事未収入金)20,000
               (前受金)20,000

③完成工事高の仕訳
 (前受金)20,000     (完成工事高)58,000
 (完成工事未収入金)38,000
第3期
第2期以後の見積りに変更なく、工事は完成した。
実際にかかった原価は11,000千円であった。
工事が完成したため、工事契約額に達するまでの全額50,000千円が入金された。

<完成工事高の計算>
 120,000−50,000−58,000=12,000

①工事原価の仕訳
 (完成工事原価)11,000  (現金預金)11,000

②入金の仕訳
 (現金預金)50,000    (完成工事未収入金)38,000
               (前受金)12,000

③完成工事高の仕訳
 (前受金)12,000     (完成工事高)12,000


工事進行基準に係る法人税法上の取扱い

 法人税法上は、「長期大規模工事」について工事進行基準を強制適用しなければなりません。
 一方、「長期大規模工事以外の工事」については工事完成基準と工事進行基準の選択適用を認めています。

長期大規模工事とは、
 着手の日から引渡の期日までの期間が1年以上
かつ
 請負金額が10億円以上
の工事です。

 但し、請負対価の50%以上が引渡の期日から1年経過後に支払われる契約の工事は長期大規模工事から除かれます。
 また、事業年度終了時に、工事着手から6カ月を経過していない工事や進捗度が20%未満の工事は、工事進行基準を適用しないことができます。


工事進行基準に係る消費税法上の取扱い

 工事進行基準により完成工事高を計上した金額については、その課税期間に資産の譲渡等を行ったこととすることができます。
 なお、法人税の申告において工事進行基準による益金が計上されていても、消費税については原則どおり資産の譲渡等の時(工事完成引渡の時)を基準として申告することも認められます。
 よって、法人税の申告において工事進行基準により経理しなければならない長期大規模工事の場合であっても、消費税については実際の資産の譲渡等の時(工事完成引渡の時)を基準として申告することが認められます。

 黒字工事の場合、工事完成引渡の時を基準として消費税を申告した方が有利になりますが、会計や法人税申告との差異が発生するため事務処理が煩雑になるのが難点です。


※注意※
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