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棚卸資産の原価法の概念の変遷

作成日:平成25年1月7日

 平成20年4月1日以降に開始する事業年度から「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用になりました。

 この基準では、通常の販売目的で保有する棚卸資産について、期末における正味売却価額(※1)が取得価額よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とすることとしています。

(※1)売価から見積販売直接経費と見積追加製造原価を控除したもの

 これを会計上は「簿価切下げ法」と呼んでいます。
 簿価切下げ法の実務上の取扱いは、法人税法の低価法とほとんど同じです。

 しかし簿価切下げ法は、今までとは異なる原価法の概念が背景となっています。

 従来の原価法は、取得価額を貸借対照表価額とする方法で取得価額にこだわるものでした。
 一方、低価法は、取得価額と時価を比較していずれか小さい金額を貸借対照表価額とする方法で、いわゆる時価法です。
 すなわち従来は、取得原価を貸借対照表価額とする原価法と時価を貸借対照表価額とする低価法という棲み分けがなされていたわけです。
 このため、時価で評価を行う低価法は原価法の例外という位置づけでした。

 しかし、新しい「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、取得原価基準は回収可能性を反映(金融商品会計基準や減損会計が代表)し、「有用な原価を繰り越す」という考え方をとっています。
 時価が下落している場合、回収可能性を反映し有用な原価として繰り越されるのは時価となりますが、取得原価のうち時価が繰り越されるにすぎません。
 あくまでも原価法(取得原価基準)の枠組みの中で、収益性が低下している場合に簿価の切り下げを行うこととしています。
 このため、会計処理基準の注記をする場合、「原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)」という記載になります。

 また、品質低下評価損や陳腐化評価損についてもそれぞれの区分に相違がなくなり、簿価切り下げ法に一本化されることになりました(棚卸資産の会計基準39項)。

 なお、法人税法上は原価法と低価法という考え方が現在も残っていますので、低価法を適用したい場合には、あらかじめ所轄税務署長の承認を受ける必要があります。
 実務上の取扱いは、簿価切り下げ法も税務上の低価法もほとんど同じ(※2)です。

(※2)売価還元法は会計上の計算式と法人税法上の計算式に差異があります。
    会計上の売価還元法を法人税法上も採用したい場合、特別な評価方法として
    あらかじめ所轄税務署長の承認を受ける必要があります。


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