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繰越欠損金に係る税効果会計

作成日:平成25年1月12日


繰越欠損金の税効果会計上の取扱い

 税務上の繰越欠損金は、将来の課税所得を減額する効果を有するため、税効果会計において将来減算一時差異に準じて取り扱われます。

 よって期末に繰越欠損金がある場合、その繰越期間内の課税所得及び将来加算一時差異の解消見込額の見積額を限度として繰延税金資産を計上することができますが、将来減算一時差異の税効果会計と同様に課税所得の見積額による回収可能性の判断が重要となります。


繰越欠損金の回収可能性の判断

 繰越欠損金の回収可能性の判断も他の将来減算一時差異と同じく、将来年度の会社の収益力に基づく課税所得によって判断することになります。
 しかし、将来の会社の収益力を客観的に判断することは実務上困難であることが多いため、監査委員会報告66号では一定の指針を示しています。
 ここでは、その指針に基づいて、繰越欠損金の回収可能性の判断について記載します。
 但し、税効果会計における回収可能性の判断はあくまでも各会社ごとの実態に応じて判断すべきであり、監査委員会報告66号であっても一つの指針にすぎないことにご留意ください。


①期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している
 会社等


②業績は安定しているが、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの
 課税所得がない会社等

 期末に繰越欠損金がある場合に①や②の会社分類になることは少ないと考えられますが、会社更生法を適用した企業再生や急激な業績回復等に伴い①や②の会社分類になった場合、繰越欠損金はスケジューリング可能な一時差異であるため、原則として全額を繰延税金資産計上の対象にできます。


③業績が不安定であり、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの
 課税所得がない会社等

 将来の合理的な見積可能期間(概ね5年)の課税所得の見積額を限度として、繰越欠損金を繰延税金資産の対象とすることができます。


<設例>
  • ×0年期末に発生した繰越欠損金の×1年期末の残高は10,000千円であった
  • 繰越欠損金の繰越可能期間は9年である
  • 中小法人等以外の会社であるため、繰越欠損金控除前の課税所得の80/100までが控除限度額となる
  • この会社の課税所得の合理的な見積可能期間は5年(×2年〜×6年)である
  • 法定実効税率は35%である


×1年×2年×3年×4年×5年×6年
課税所得の見積額2,0001,5001,5001,5001,500
繰越欠損金控除額(80/100)1,6001,2001,2001,2001,200
繰越欠損金残高10,0008,4007,2006,0004,8003,600


繰延資産計上の対象となる繰越欠損金の額の計算
1,600+1,200+1,200+1,200+1,200=6,400千円

繰延税金資産の計算
6,400×35%=2,240千円

評価性引当額(繰延税金資産の対象にならない金額)の計算
3,600×35%=1,260千円


④重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等

 期末に重要な繰越欠損金を有する会社や過去概ね3年内に重要な税務上の欠損金の繰越期限切れとなった会社等は、通常、将来の課税所得の発生を合理的に見積ることは困難です。
 このため、翌期に課税所得の発生が確実に見込まれる場合、翌期の課税所得の範囲内で繰越欠損金を繰延税金資産の対象にできることとしています。
 スケジューリングの期間が翌期1年のみとなっている点や課税所得発生の確実性が求められる点が③の会社との違いです。

 但し、重要な税務上の繰越欠損金が、事業のリストラ等の非経常的な要因により発生したものであり、それを除けば課税所得を毎期計上している会社の場合には、③の会社と同様に扱い、概ね5年以内のスケジューリングが可能です(第4分類但し書き)。


⑤過去連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社等

 概ね3年以上連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社で、かつ、当期も重要な税務上の欠損金の計上が見込まれる会社の場合には、原則として繰越欠損金を繰延税金資産の対象とすることはできません。


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