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 直接減額方式による圧縮記帳と積立金方式による圧縮記帳

直接減額方式による圧縮記帳と積立金方式による圧縮記帳

作成日:平成25年5月28日

 圧縮記帳の目的は、『圧縮記帳による課税の繰り延べ効果』のとおり、課税を繰り延べることにあります。

 企業会計原則注解24では、「国庫補助金、工事負担金等で取得した資産については、国庫補助金等に相当する金額をその取得原価から控除することができる」としています。
 これを直接減額方式と呼んでいます。
 しかし、直接減額方式では、固定資産の帳簿価額が実態と乖離してしまいます。

 この問題を解決するために、会計上は積立金方式が用いられる場合があります。
 積立金方式によれば、固定資産の帳簿価額を直接減額することなく、純資産の部と税務上の調整だけで課税の繰延効果を享受することができます。

 以下の例で、直接減額方式と積立金方式を比較していきます。

<設例>
  1. 機械1,000,000円を預金にて取得した。
  2. 国庫補助金500,000円を受け取った。
  3. 機械は5年の定額法で減価償却する。
  4. 上記以外に毎期純利益が1,000,000円発生するものとする。


<直接減額方式>
  1. 機械の取得
    (機械)1,000,000 (預金)1,000,000
  2. 国庫補助金の受取
    (預金)500,000 (国庫補助金受贈益)500,000
  3. 帳簿価額から直接減額
    (圧縮損)500,000 (機械)500,000
  4. 直接減額後の簿価を基礎として減価償却
    (減価償却)100,000 (減価償却累計額)100,000


<積立金方式>
  1. 機械の取得
    (機械)1,000,000 (預金)1,000,000
  2. 国庫補助金の受取
    (預金)500,000 (受贈益)500,000
  3. 圧縮積立金の積立とそれに伴う税務調整
    (繰越利益剰余金)500,000 (圧縮積立金)500,000⇒圧縮積立金積立額500,000を損金に算入
  4. 圧縮積立金の取崩しとそれに伴う税務調整
    (圧縮積立金)100,000 (圧縮積立金取崩)100,000⇒圧縮積立金取崩額100,000を益金に算入
    ※減価償却に伴い、5年間で取り崩す
  5. 元々の取得原価を基礎として減価償却
    (減価償却)200,000 (減価償却累計額)200,000


適正な簿価の比較

直接減額方式の場合の機械装置の簿価⇒400,000円
積立金方式の場合の機械装置の簿価⇒800,000円

 両者を比べれば、積立金方式の簿価である800,000円の方が、圧縮損の影響を受けていないため、適正な取得価額に基づいて算出された簿価といえます。

 下記のように課税所得の金額は、直接減額方式でも積立金方式でも一致します。


・直接減額方式の初年度
その他の純利益 1,000,000
受贈益      500,000
圧縮損     △500,000
減価償却費   △100,000
課税所得計    900,000


・積立金方式の初年度
その他の純利益 1,000,000
受贈益      500,000
圧縮積立金積立 △500,000⇒申告書の別表4で減算
圧縮積立金取崩  100,000⇒申告書の別表4で加算
減価償却費   △200,000
課税所得計    900,000


・直接減額方式の2年目以降
その他の純利益 1,000,000
減価償却費   △100,000
課税所得計    900,000


・積立金方式の2年目以降
その他の純利益 1,000,000
圧縮積立金取崩  100,000⇒申告書の別表4で加算
減価償却費   △200,000
課税所得計    900,000


いずれを採用すべきか

 企業会計上の適正な簿価を考えるのであれば、積立金方式を採用した方が望ましいといえます。
 しかし、積立金方式は経理処理が煩雑であり、過年度に圧縮記帳した固定資産の圧縮積立金を管理する必要があります。
 このため、各企業の状況及び固定資産の取引実態により、いずれを採用するかを判断することになります。


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