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 法人税法における資本的支出と修繕費の区分

法人税法における資本的支出と修繕費(収益的支出)の区分

作成日:平成24年4月22日

 固定資産の修理や改良等のために支出した金額は、
  (1)資本的支出
  (2)修繕費(収益的支出)
に分かれます。


(1)資本的支出

 資本的支出とは、支出した金額のうち、
  ①その固定資産の価値を高めたり
  ②その耐久性を増したり
すると認められる部分に対応する金額です。
 資本的支出は、価値を高めたり、耐久性を増したりしているため、固定資産として計上することが求められます。

 以下で計算した資本的支出の金額を取得原価とし、原則として、その支出の対象となる減価償却資産と種類及び耐用年数が同じ減価償却資産を新たに取得したこととして減価償却限度額を計算してゆくことになります。

①固定資産の価値を高める場合の資本的支出の計算
資本的支出の金額=支出後の時価−通常の管理修繕をしていた場合の時価


②耐久性を増した場合の資本的支出の計算
資本的支出の金額=支出金額×(支出後の使用可能年数
         −支出しなかった場合の残存使用可能年数)/支出後の使用可能年数


③支出の効果が、①価値を高め②耐久性を増す、の両方に及ぶ場合
資本的支出の金額=上記①、②のいずれか大きい金額


(2)修繕費(収益的支出)

 収益的支出とは、固定資産の通常の維持管理や毀損した固定資産の原状回復のために要したと認められる部分の金額です。
 上記(1)資本的支出に該当しない金額です。
 収益的支出は修繕費として一時に損金算入することができます。


(3)資本的支出と修繕費の区分(形式基準)

 資本的支出と収益的支出の区分は、金額の大小ではなく、実質で判断することとされています。
 しかし、上記のいずれに該当するかの判定は、実務上非常に困難である場合があるため、法人税基本通達では以下の形式基準を定めています。

<形式基準の流れ>
①災害に伴って支出したものか
  YES⇒②へ
   NO⇒③へ

②原状回復又は被災前の効用を維持するためのものか
  YES⇒修繕費
   NO⇒⑨へ

③20万円未満か(※1)
  YES⇒修繕費
   NO⇒④へ

④周期が概ね3年以内か
  YES⇒修繕費
   NO⇒⑤へ

⑤明らかに価値を高めるもの又は耐久性を増すものか
  YES⇒資本的支出
   NO⇒⑥へ

⑥通常の維持管理のためのものか
  YES⇒修繕費
   NO⇒⑦へ

⑦毀損したものを原状に回復するためのものか
  YES⇒修繕費
   NO⇒⑧へ

⑧60万円未満(※1)又は前期末取得価額(※2)の10%以下か
  YES⇒修繕費
   NO⇒⑩へ

⑨割合区分による方法(災害に伴って支出したものである場合)
  修繕費の金額=支出額の30%(※1)
  資本的支出の金額=支出額の70%(※1)

⑩割合区分による方法(災害に伴って支出したものでない場合)
  修繕費の金額=「支出額の30%(※1)」と「前期末取得価額(※2)の10%」の
         いずれか少ない金額

  資本的支出の金額=支出額−上記で計算した修繕費の金額

(※1)支出金額の判定は、一回の計画に基づいて同一の固定資産に支出する金額の合計
    で判定します。
    但し、2事業年度にまたがって支出された場合、各事業年度ごとに判定します。
(※2)前期末取得価額とは、原始取得価額(圧縮記帳をしている場合は圧縮後の取得
    価額)から除却した部分の取得価額を除き、前事業年度末までに行った資本的
    支出の金額を加えたものです。


<形式基準の注意点>
 形式基準の判定では、上記の順番で一つずつ判定していくことになります。
 このため、⑤や⑥や⑦で明らかに資本的支出や修繕費として区分できるのにそれをせず、⑩の割合区分による方法で区分することはできません。
 割合区分による方法には、いずれに該当するかわからない場合に辿りつくことになります。


(4)資本的支出と修繕費の例

<資本的支出の例>

  • 建物の避難階段の取り付け等、物理的に付加した部分に係る費用の額
  • 用途変更の模様替え等、改造又は改装に直接要した費用の額
  • 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取替えた費用のうち、通常の取替の場合に要すると認められる費用の額を超える部分の金額
  • ソフトウェアのプログラム修正等を行った際に、新たな機能の追加や機能の向上等があった場合には、その修正等に要した額


<収益的支出の例>
(但し、以下の例でもケースによっては不可であるため、詳細は法人税基本通達7−8−2等をご参照ください)

  • 建物の移転、解体移築費用
  • 機械装置の移設費用
  • 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために地盛りした費用
  • ソフトウェアのプログラム修正等を行った際に、機能上の障害の除去や現状の効用の維持等のために要した額


※注意※
 作成日現在の法令等に基づいて作成しております。
 各制度の趣旨を分かりやすく解説することを目的に作成しておりますので、細かい論点や改正点を全て網羅しているわけではありません。
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