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 業績悪化事由による定期同額給与の改定の判断

業績悪化事由による定期同額給与の改定の判断

作成日:平成24年5月28日
参考:国税庁「役員給与に関するQ&A」

 役員給与の法人税法上の取扱いのうち、定期同額給与を改定するには、

  • 通常改定
  • 臨時改定事由による改定
  • 業績悪化事由による改定
があります。(役員給与の法人税法上の取扱いの概要

 このうち、業績悪化事由による改定について、国税庁がQ&Aを公表しています。

 業績悪化改定事由による改定とは、「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」によりされた月額報酬の改定です。
 この改定には増額改定のパターンはなく、減額改定に限られます。

 この改定によるには、やむを得ず役員報酬を減額せざるを得ない事由が求められます。
 このため、一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかった場合などは該当しないこととされています(法人税基本通達9−2−3)。


既に業績が悪化している場合の取扱い

 「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、やむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情がある場合であり、

  1. 財務諸表の数値が相当程度悪化したこと
  2. 倒産の危機に瀕したこと
  3. 経営状況の悪化により第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じたこと
等の場合です。

上記3の第三者との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない場合の具体例として

  • 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
  • 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
  • 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合
が考えられます。

 役員給与を減額するにあたっては、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的な事情を具体的に説明できるようにしておく必要があります。
 業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じていたとしても、利益調整のみを目的として減額改定を行う場合には、やむを得ず役員給与の額を減額したとはいえず、業績悪化改定事由に該当しません。


今後業績が悪化することが不可避の場合の取扱い

 今後の業績の著しい悪化が不可避と認められる場合の取扱いは平成24年4月のQ&A改訂で追加されました。
 従来は、現に業績悪化が数値として現れていなくとも業績悪化改定事由にあたるケースがあるのか疑問でした。
 今回のQ&Aの追加により、現に業績悪化が数値として現れていなくとも、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後業績が著しく悪化することが不可避と認められる場合には、業績悪化改定事由に該当することが示されました。

 客観的な状況から今後業績が著しく悪化することが不可避と認められる場合の具体例として、

  • 売上の大半を占める主要な得意先が1回目の手形の不渡りを出したという客観的な状況となり、得意先の経営状況を踏まえれば数か月後には売上が激減することが避けられない場合
  • 主力製品に瑕疵があることが判明して、今後、多額の損害賠償金やリコール費用の支出が避けられない場合
が示されています。
 しかし、あくまで客観的な状況によって判断する必要があり、客観的な状況がない単なる将来の見込みにより役員給与を減額した場合は業績悪化改定事由による減額改定に該当しないこととされています。

 役員給与を減額するにあたっては、

  • 会社経営上の数値的指標の著しい悪化が不可避と判断される客観的な状況
  • 経営改善策を講じなかった場合の著しい業績悪化を回避するため、具体的にどのような計画を策定したのか
を説明できるようにしておく必要があります。


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