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 個別対応方式と一括比例配分方式の計算及び判定

個別対応方式と一括比例配分方式の計算及び判定

作成日:平成24年3月18日

 消費税は多段階累積控除の仕組みをとっています。
 多段階累積控除の趣旨は、課税売上に係る課税仕入をする際に支払った消費税を納付税額の計算上控除することで、2重3重に消費税が課税されることを防ぐことにあります。

<消費税納付税額のイメージ>
消費税納付税額=預かった消費税額−課税売上のための仕入をする際に支払った消費税額
                 (控除対象仕入税額)

 課税売上に係る課税仕入のみでなく、非課税売上に係る課税仕入まで仕入税額控除の対象にしてしまうと、多段階累積控除の趣旨以上に控除対象仕入税額が大きくなり、益税の問題が発生します。

 このため、仕入税額控除の計算の際には、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかの方法で、課税売上に係る課税仕入に限定して控除対象仕入税額を計算することになります。

(注)その課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者は課税売上割合(※)が95%以上であれば、個別対応方式や一括比例配分方式による仕入税額控除計算を行うことなく、課税仕入に係る消費税額の全額を控除対象仕入税額とすることができます(95%ルール)。
※課税売上割合とは、課税売上と非課税売上の合計のうち課税売上が占める割合です。
 課税売上割合=課税売上高÷(課税売上高+非課税売上高)


個別対応方式の計算方法

 個別対応方式では、課税仕入を以下の3通りに区分します。
  ①課税資産の譲渡等にのみに対応するもの(以下「課税対応」と記載)
  ②その他の資産の譲渡等にのみ対応するもの(以下「非課税対応」と記載)
  ③課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して対応するもの
  (以下「共通対応」と記載)

 ①の「課税対応」は全額が仕入税額控除の対象となります。
 ②の「非課税対応」は全額が仕入税額控除の対象外となります。
 ③の「共通対応」は、課税売上割合を乗じた数値が仕入税額控除の対象となります。

<計算式>
控除対象仕入税額=「課税対応の仕入税額」+「共通対応の仕入税額」×課税売上割合


一括比例配分方式の計算

 一括比例配分方式では、個別対応方式のように課税仕入を3通りに区分することなく、仕入税額全体に課税売上割合を乗じた金額を控除対象仕入税額とします。

<計算式>
控除対象仕入税額=「仕入税額の合計額」×課税売上割合


個別対応方式と一括比例配分方式の有利・不利判定

 通常、個別対応方式の方が「課税のみ対応の仕入税額」を100%控除できることから、消費税の納付税額は有利になります。
 一方で、一括比例配分方式の方が、課税仕入を3つに区分する手間が省けるため、事務処理が簡便化できます。
 簡単なシュミレーションを行ってみて、どの程度納税額に影響を及ぼすのか試算のうえ、事務処理の煩雑性との比較によりいずれの方法を選択するか判断することになるでしょう。
 なお、金融機関等の「非課税のみ対応の仕入税額」が大きい業種では、一括比例配分方式の方が消費税の納付税額についても有利になることがあります。

 注意点は、一括比例配分方式を一旦選択すると、2年間以上継続して適用した後でなければ個別対応方式に変更することができないことです。
 土地や有価証券の売却をした場合には、課税売上割合が下がります。
 課税売上割合が下がれば一括比例配分方式による納付税額のデメリットは大きくなりやすいです。
 個別対応方式を選択したいのに継続適用期間のため変更できないということにならないように、事前に個別対応方式の採用をしておく方が望ましいケースもあります。


届け出は不要だが、一括比例配分方式の継続適用に注意

 個別対応方式と一括比例配分方式の選択の際には、事前の届出は不要です。
 消費税の申告書を提出することで、確定することになります。
 一方で、一括比例配分方式は一旦選択すると、2年間以上継続して適用した後でなければ個別対応方式に変更することはできません。
 また、消費税の申告書の提出後は、有利不利の判定間違いを理由として、計算方式を変更する更正の請求は認められないという判例がありますので、注意が必要です。


※注意※
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