居住用賃貸建物の税務調査がありました。
税務署は、仕入日時点において、入居者がいる不動産については、居住用賃貸建物とみなしているようです。
その実態が、賃貸目的であるか、販売目的であるかは、あまり重視していません。
その根拠は、こちらの消費税基本通達11-7-1です。
居住用賃貸建物と仕入税額控除
(3)には、「棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの」とあります。
ここでいう棚卸資産は、販売用不動産のことです。
すなわち、販売用不動産として取得しただけでは、仕入税額控除を認めない。
但し、入居者がそもそもいなければ、仕入税額控除を認めるということです。
勿論、入居者がいなければ、住宅の貸付の用に供しないことが明らかですよね。
(そりゃそうです。)
問題は、入居者がいるだけで、「仕入税額控除を認めない」と税務署が言い始めたことです。
しかし、入居者がいても、棚卸資産であることは、珍しいことではありませんね。
入居者の立退きをさせたり、入居中のまま譲渡したり、実務ではありふれています。
この通達は完全に実務と乖離していると言えるでしょう。
また、購入後まもなく譲渡されているされている場合には、棚卸資産であることが明確になると考えられます。
その場合、入居者がいても、仕入税額控除をすることが適切ではないでしょうか。
居住用賃貸建物と譲渡
3年以内に譲渡した場合の加算調整があります。
しかし、3年以内しか加算調整が認められないことは、理不尽ですね。
3年を超えると仕入税額控除できなくなるとは・・・
消費税の多段階累積控除の仕組みを完全否定した制度です。
消費税の多段階累積控除の仕組み
賃貸期間の受取家賃を調整する仕組みも疑問です。
個別対応方式で計算するときに、そんな調整する必要ないでしょう。
建物の取得と建物の譲渡の関係で見た場合、多段階累積控除の仕組みが崩壊してしまいます。
財務省は、目先の問題に対処するために、理論を無視した税制を量産しています。
課税庁は、理論を無視で、おかしな通達を法律かのように振り回しています。
この国の消費税制の未来は暗いですね。。。
税務署が理不尽な主張をしてくる時は、迷わず争いましょう。